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体罰を受ける権利

法律からみた児相

★体罰を受ける権利

内海 子どもの権利についてはいかがですか。
南出 子ども権利条約というのがありますが、基本的に僕は子どもの権利はないと思っています。これについては異論があるかもしれないので少し説明します。
 子どもというのは、親の保護を受けてようやく全うできる存在です。たとえば「子どもには人権がある」という人たちは、全人格が完成された人を想定しています。しかし、子どもが成人するまでの間、完全な全人格的な人権を主張できる前の期間というのがあるわけです。そういうときでさえも権利意識ばかりに突出してしまっている。学校に行かない権利がある。体罰を受けない権利がある。それから、親に反抗する権利がある。援助交際する権利がある。自分が体を売って金儲けする権利がある。……皆、全部そういう意識になっています。その権利意識の過剰さが今の子どもたちを破壊しているのではないでしょうか。つまり躾も含めて、権利という主張の前に、大人が何もできていない。権利をあんまり強調し過ぎることによって、子どもにしてみれば「あんたを親に選んで生まれて来たんじゃない」と言えるし、親も同じように「お前を選んで生んだわけじゃない」と言えてしまう。「なぜ、血のつながりがあるということをもって扶養する義務があるのか?」と問われたら、どう答えますか? 答えられないじゃないですか。
 権利意識というのは際限なく拡張して、自己破綻していくという構造があるんです。
 だから私の立場では、子どもの権利というものがあるのなら、子どもには体罰を受ける権利があるということになると思います。
 体罰を含めた教育をもってして、子ども自身が一人前になっていくことを、親なり、国なりが責任をもっていくという考え方からすれば、教育のための一つの懲戒手段として体罰を制限してしまっては困るんだともいえる。学校になんで体罰がないのか、それはおかしいじゃないかともいえる。
 さらにいえば、学校教育で体罰を禁止していること自体は子どもの体罰を受ける権利を侵害するんじゃないかという論理もありうるでしょう。私はそう考えているわけ。
 だから、現在の家庭体罰が認められている一方、学校体罰は認めないというねじれた現象というのは、まったく合理的、科学的根拠がないです。
 要するに、子どもには子どもの、しっかりと育っていくプロセスがあるし、その中で教育を受ける権利の一環として体罰を受ける権利があります。●●●には、体罰も教育なんだと、そう書いてある。懲戒権というのは教育権でしょ。
内海 このあたりのことは、松島さん、どうお考えですか。
松島 今、児虐法の「虐待」の定義の話が出ました。権利の話も出ましたが、全体論の中に人としての正当行為と不当行為ってあると思うんですね。そのすみ分けができていないから、どんな行為も見方次第で不当行為にもなれば、正当行為にもなってしまいますよね。だから、法律上の児虐法の虐待の定義に、「正当行為を除く」という一文をなぜ入れてないのかなって、不思議です。その一文が入っただけで、親権者としての子どもに対する躾とか、教育者としての生徒に対する教育とか、ちゃんと分けられるじゃないですか。今は、そうじゃないんですよ。だから、たとえば、子どもが食べ過ぎて太りすぎたので食事を控えさせただけで「お前、食事を与えなかっただろう」と、虐待と取られてしまいます。
南出 そういうことでも「育児放棄」として虐待と解釈されてしまいます。
松島 育児放棄というのは、やっぱり児相にとっては一番楽で都合がいいんですよ。どんな行為だって、疑わしかったら、「育児放棄」としてしょっ引いてきちゃえばいいんだから。
 しかし、一度しょっ引いて来ちゃったら、「間違いました。ごめんなさい」では済まない話なので、無理やりにでも理由を付けてしまう。そのとき、あの2条ってとても都合がいいんです。どんな行為をやっていても、それを虐待でしたって、解釈することができるんです。
 そして、ひとたび決めつけられたら最後です。親側に対して「あんた、虐待した親なんだから、もう人並に意見を言ったってムダ」って、そういうことを堂々と言う職員がいるんです。「虐待をした親」というのは、意見も言う権利すらない人間なんだと。
 その後、どうするかというと、「偉そうなこと言っていたら、子どもに会わさないぞ」という脅しです。子どもは人質ですから、親の側からしたら何も反抗できなくなってしまう。
 こういう構造が完全にできあがっているうえ、彼らは司法で言うところの令状主義だとかそんなものは知ったことじゃないんです。今は権限だけで見たら、警察の権限より児相の職員が持ってる権限のほうが圧倒的に大きいんですよ。
記者会見

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