ブログ

第2章 検証・児童虐待激増のウソ

第2章 検証・児童虐待激増のウソ

★虐待は本当に増えているのか?

 ここではまず日本における児童虐待が現在どういう状況にあるのかの概要を把握するためにいくつかのデータを見てみることにしよう。
 まず、厚生労働省発表の、「児童虐待相談の件数及び虐待による死亡例件数の推移」より、児童虐待数がどのように推移しているかを検討してみる。

http://www.crc-japan.net/contents/situation/pdf/20120201.pdf

 1990(平成2)年に1101件だった対応件数は、それ以来一度も前年を下回ることなく右肩上がりで増え続け、1999(平成11)年には10倍を超え、2011(平成23)年にはついに6万件に達そうとしている。
 これを見て、皆さんは何を考えるだろうか?
 大半の方々は、この数字の推移を見て、なるほど日本では虐待が大幅に増えていると考えるはずだ。
 しかしそれは本当であるか、事実に注目しながらしっかり考える必要がある。それこそがこの本を書く理由であるはずだからだ。
 まず実際に増えているのは、あくまでも「児童虐待相談の対応件数」であり、「児童虐待認定件数」ではないということを押さえなければならない。
 厚生労働省はCMやネットなどあらゆる方法を駆使して、「児童虐待通報」を積極的に行なうよう国民に周知徹底しているので、「虐待通報件数」自体は劇的に増加している。そして、「虐待通報」を受けると調査・確認をする義務が発生するので、これはそのまま「児童虐待相談の対応件数」としてカウントされている。
 厚生労働省は児童虐待の統計を2003(平成15)年から取っている。その中に「児童虐待によって子どもが死亡した件数」があるが、2003年から2010年の7年間で、死亡件数の増減は多少あるものの、おおむね横ばいになっている。
 児童虐待による「死亡数」は、警察が捜査によって虐待事実を明らかにして検察庁へ送致した数字であって、時代や個人の主観による「虐待」の定義に左右されないため、間違いなく「虐待」の件数として計上できる数字であって、「児童虐待」の客観的件数と見ることができる。その客観的な数字が横ばいであるということは、実際には命に関わる児童虐待は増えてなどいないと言えるのではないか、という疑問が生じてくる。
 逆に言えば、「児童虐待対応件数」が増えていて「児童虐待認定件数」も増えているという仮定に立つならば、「児童虐待によって子どもが死亡した件数」がほとんど変化なしということはどういうことだろう。
 本来、最初に防がなくてはならないはずの、死に至るような児童虐待に対して、児童相談所がまったく機能していないということを表しているのではないだろうか。
 ここ数年にわたって、「子どもを救え」という号令の下、児童相談所の権限は非常に強化されてきた。そのことは後のページで触れるが、強大な権力があるにもかかわらず、実際はまったく死を防げていない実態がある。このことを私たちは注意深く観察する必要がある。

児童相談所

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

児童相談所の怖い話①

児童相談所の怖い話

ページ上部へ戻る