本当に厳しいながらも的を射た言葉である。
つまり日本には子どもの虐待や他殺死に関して客観的なデータがほとんど存在していないということだ。
そして、そうしたことを国家機関が行なうのではなく、一研究者が少しずつ数字を解明してきたとするならば、国家機関や児童相談所はこれまでいったい何を研究してきたのか疑問に思わざるをえない。
前半のデータを見ると全体的に虐待死は横ばいだが、子どもの他殺死(そのほとんどすべてが虐待死)は減ってきている。ただ平成7年くらいからはほとんど横ばいということがうかがえる。
とすれば私たちがこれまで固く信じてきている「虐待は増えている」「虐待死は増えている」「児童相談所にもっと権限を与えて虐待を取り締まらねばならない」というのは、いったい何なのだろうか?
そして、児童相談所というシステムは何なのか? 本当に機能しているのか? 本当に子どものためになっているのか?
そこには調べれば調べるほど深い闇が待っている。
これらを見たうえで、もう一度「ど素人」の視点に立って考えてみてほしい。皆さんの周りにいわゆる本当の虐待、死に直結するような虐待をどれだけ見かけたことがありますか? という問いである。
本章の一つの結論として申しあげたいのは、現代の日本において虐待が増えているというのはある意味において「ウソ」だということだ。
教育が比較的行き届いている日本、周囲の視線を意識しやすい日本社会においては、倫理観や社会性が強く存在している。体裁や協調性を重んじる国民性ももちろん影響しているはずだ。そうした社会で児童虐待が増え続けているというのは考えにくい。いじめの問題は顕在化しているが、これも昔からいじめがなかったわけではない。さらにいえばいじめは社会共謀的な作業であり、虐待などの家庭隠蔽的な行動とは少し種類が違う。
日本人はもしかすると必要以上に虐待を意識し、自分の子育てに不安を感じ、自分のしつけは虐待ではないかと思うように「洗脳」されているのかもしれない。そして、虐待は年を追うごとに増え続け、事態はいっそう深刻化していると思い込まされているのかもしれない。
そして、もう一つの問題は、本当の意味での児童虐待は増えていないにもかかわらず、児童虐待が増えたことにしたい勢力が存在するということである。彼らはだれで、何を目的にしているのだろうか。
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